魔道ボイラーのお話を聞いてたらね、ロルフさんちのメイドさんが来て、
「旦那様が、調理場に魔道コンロの設置が終わったので、興味があるようでしたらご覧になりますか?」
って言ってきたんだよね。
僕、魔道コンロは宿屋さんに泊まった時に、遠くから見た事があるだけなんだよね。
だからすぐにうん! って答えて、メイドさんに連れてってもらったんだ。
調理場についたらね、壁にこないだ来た時は無かったきれいなフライパンがいっぱい吊り下げられてたんだよ。
それにその横にある戸棚には、きれいに磨かれた鍋やお皿とかがいっぱい入ってたんだ。
「わぁ、すっごくなってる」
そんな調理器具や食器を見てびっくりしてる僕に、メイドさんがニコニコしながらこう言ったんだよね。
「ルディーン様。こちらをご覧ください。こちらが旦那様がこの館に用意なされた魔道コンロでございます。
調理場に入っていた魔道コンロは火が出るとこが二つ付いてて、その下にちょっと大きめのオーブンがついてる奴だったんだ。
僕、それを見てすっごいのが入ったんだなぁって思ったんだけど、
「わっ! おんなじのが三つもある」
横を見たらおんなじ魔道コンロがあと二つあったもんだから、僕、すっごくびっくりしちゃった。
そしたらね、僕が来たって教えてもらったのか、この調理場に入ってきたロルフさんが僕んとこに来たてこう言ったんだよ。
「どうじゃ、ルディーン君。立派なものじゃろう?」
「うん! 僕、こんなにいっぱい、魔道コンロが入ってるなんて思ってなかったから、すっごくびっくりしちゃった」
それを聞いたロルフさんは、ほっほっほって笑いながら、なんで3つもあるのかを教えてくれたんだ。
「ここには、わしの館から数多くの使用人が経験を積むために訪れるからのぉ。その者たちの食事を考えると、魔道コンロも一つだけでは料理人が困るのじゃよ」
人がいっぱいいると、そのご飯を作るだけでも大変だよね?
だから料理人さんはいっぱいいないとダメだから、ロルフさんはここで働く人をもう雇ってるんだよって教えてくれたんだ。
でもね、料理人さんがいっぱいいても、その人たちがお料理を作るとこが無いとダメでしょ?
そんな訳で、料理人さんたちが困んないように、魔道コンロを三つも入れてくれたんだってさ。
「それとな、この調理場にいれた魔道具は魔道コンロだけではないのじゃぞ」
そり不さんはそう言うと、魔道コンロの置いてあるとこの反対側を指さしたんだ。
だから僕、そっちの方を見たんだけど、そこにはおっきな魔道冷蔵庫が2個並んでたんだ。
でも、あれ?
「ねぇ、ロルフさん。地面の下にあるお部屋を、クールの魔法で冷蔵庫にするんだよね? なのに何で、ここのも入れたの?」
このお家、地面の下にもお部屋があるんだよね。
それを見つけた時に、僕、ここだったらあんまり魔力を使わなくってもつべたくできるから冷蔵庫にしようってロルフさんに行ったんだよ?
なのに、何でかここにもおっきな冷蔵庫があったもんだから、僕、なんで? ってロルフさんに聞いたんだ。
そしたらロルフさんは、笑いながらその方が便利だからなんだよって。
「料理人からすると、調理をするたびに遠く離れた冷蔵室まで足を運ぶのは大変であろう? じゃから、せめて一日二日で使う分くらいの食材を入れる冷蔵庫は必要なのじゃよ」
「でもさ、それだったら1個でいいよね? でもあそこ、魔道冷蔵庫が2個も並んでるよ」
人がいっぱいいるからって、あんなおっきな冷蔵庫だったら1個だけで充分だよね?
なのに2個もおいてあるももんだから、僕はなんで? って聞いてみたんだ。
そしたら、
「うむ。見た目が同じじゃからそう思うのも無理はないが、実を言うとな、あのうちの一つは冷蔵庫ではなく、魔道冷凍庫なのじゃ」
なんとあのうちの1個は魔道冷凍庫だよって教えてくれたもんだから、僕、すっごくびっくりしたんだよね。
だってさ、さっきも言ったけど、二つともすっごくおっきいんだもん。
それも僕が作った簡易型のじゃなくて、ちゃんとした魔道冷蔵庫だったもんだから、まさかそのうちの一個がもっと魔力を使う冷凍庫だなんて、僕、全然思わなかったんだ。
「ロルフさん。何で? お勉強に来るメイドさんたちだけだったら、冷蔵庫だけでいいんじゃないの?」
「それはじゃな、将来を見越して入れて置いたのじゃよ」
ロルフさんはね、今はまだ必要ないけど、近いうちに必要になるから一緒に入れとこうッて思ったんだって。
「この場所には近い将来、君の商会を立ち上げると話しておいたであろう? そうなった場合、ここで働く者の数は今とは比べ物にならなくなるのじゃよ」
このお家の横に僕の商会を作ったら、そこで働く人たちのご飯もここで作るようになるんだよってロルフさんは言うんだよね。
だからそれにはおっきな冷蔵庫がいるし、今はいらないって思う冷凍庫だっているようになるから、いろんな魔道具を入れるついでに魔道具屋さんに頼んで一緒に入れといてもらったんだって。
「魔道具屋も商売じゃからのぉ。一つ一つを別々に注文するよりも、一度にいくつか頼んだ方が割引をしてくれるのじゃよ」
「へぇ、そうなんだ」
魔道具ってとっても高いでしょ?
だから一緒に頼んで引いてくれる分だけでも、かなり違うんだよってロルフさんは教えてくれたんだ。
「それにな、実を言うとわしの本宅で使っておる魔道冷蔵庫も少々古くなってきておってな、ここに入れる分と合わせて購入したおかげでかなり安く買えたのじゃよ」
「いっぱい買ったから、魔道具屋さんもいっぱい安くしてくれたんだね」
「うむ。そういう事じゃ」
ロルフさんちの魔道冷蔵庫は、ここにいれたのよりずっとおっきいんだって。
だから安く買えて、すっごく助かったんだよって笑うロルフさん。
「それにな、我が館で使っておる魔道冷蔵庫は在庫として持てるようなものでは無いらしくてのぉ。もし壊れてからの注文となれば、数日待たねばならぬそうなのじゃ」
「そんなにおっきな冷蔵庫なの?」
「うむ。使用人の数も多いし、何よりこの館のように地下室を冷蔵庫になどしておらぬからな。そしてそれゆえに、もし壊れてから注文するような事になっておったら、ちと困った事になる所だったようなのじゃよ」
ロルフさんちの冷蔵庫、魔道具屋さんに見てもらったら魔石が古くなってていつ壊れてもおかしくなかったんだって。
「じゃからな、ルディーン君。そういう意味でも、今回のまとめ買いは助かったのじゃ」
ロルフさんはそう言うとね、長いお髭をなでながらほっほっほって笑ったんだ。
ルディーン君の館、かなりの量の魔道具が運び込まれているような?
実際、金額にしたらかなりのものになるでしょうね。
でもまぁ、メイドや執事の訓練の場を提供してもらうと言う利点を考えると、大した出費でもないのかもしれませんけど。
なにせルディーン君が買った館の値段と比べたら、そんなものは大した金額ではないのですから。
それにルディーン君の館に入れると言っても、実際に使うのはその殆どがロルフさんの家人の食事の為ですしね。